2年間をふりかえる演劇

今年度はいつになく最後まで小学校にいっていて、先週の金曜日(3/20)まで行っていました。実質授業の最後の日じゃない?みたいな感じです。

何度か「へそ図鑑」にも登場していますが、昨年今年、つまり、小学校1年生2年生と2年続けて、断続的に演劇していた(僕と遊んでいた)学校があります。そのことを少し振り返ろうと思います。(今年の3学期にやったことを中心に)

昨年、N小学校の1年生の先生から、「前に担当していたクラスの子たちは、演劇のようなことをやらせると、とても楽しんで、アイディアがドンドンあふれ出てきて、自分たちでなんでもやっていたのだけれど、今年の1年生は少しおとなしく、自分たちでアイディアがあまり出てこないんです。なんとか一緒に劇活動ができませんか?」との話があった。

最初に一緒に活動したのは一昨年(2013年)の夏の終わり。自分たちの育てたアサガオについて、発見したこと、嬉しかったことを演劇にして、近くの高齢者介護施設に行って発表するというものでした。(詳しくはこちらを参照

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次の活動は3学期のこと。一冊の絵本を演劇にするというものでした。こちらと同じような活動ですが、もう少し長く活動時間をとり、グループでやる演劇と演劇の間も、ナレーションの様な形にして、自分たちだけで、最初から最後まで演劇にしました。これはビデオを撮って、後で全学年に見せたようです。

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そして2年生になってからの学芸会(2学期)!
夏休みから先生と相談して、どんな演目にしようか話し合いました。「あの子たちにあった作品はなんなのか?」「協力してやれるのが良い」「自分たちのアイディアを盛り込めるものが良い」「逆に言うとアイディアを盛り込めるような仕掛けを作っておかなくては」みたいなことを話し合いました。
そこで「すすめ!さんぞく!」という作品を上演することにしました。

オリジナルを少し変えて、流行りの妖怪が出てくるような仕掛けを入れ込んで、子どもたちと一緒に、楽しみながら作りました。

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そして、3学期。担任の先生はおそらく代わります。単学級なのでクラス替えはないのですが、それでも、これまで「出来るようになったこと」「頑張ったこと」などを演劇にして、保護者の方や学校ボランティアの方などに見せよう!という試みをしました。
先生は、自分がもうすぐ担任を離れるという想いもあったと思いますが、それよりも、最近の子どもたちによくある問題の一つで「自己肯定感が少ない」ということを思って、「頑張ったこと」を演劇にしようと思ったのだと思います。

「何をやってもダメだ」とは思ってないと思います。でも「また怒られた」「また失敗した」ということから、「出来なかった」、そして「どうせ一番じゃないし…」という思いに繋がっていってしまう子どもたちが少なくありません。
どんなことにも順位を付けない、という意味ではありません。その子が頑張ったことを大人や友だちが評価してくれないと、自分で自分を評価できないというか、自分を褒めてあげられなくなってしまい、だんだん自信をなくしていってしまいます。

なので、先生とともに、どんな小さなことでも良いから、出来るようになったこと、みんなで頑張ったことを劇にしたい、そしてそれを保護者に見せたい!という思いから、子どもたちと劇をつくることにしました。

日付は変わっていますが、何時間目に何をしたかを書いていきます。

1〜3時間目 思い出し
先生が、この1年にやったことを模造紙にかき出した。それを見ながら、その時に何があったか、何が良かったか?などを子どもたちに言ってもらう

4〜6時間目 テーマ及びグループ決め
思い出しの中から、何を劇にしたいかを一緒に考えた。
・クラス皆で頑張ったこと
・1グループ5人〜6人になること
ということを子どもたちに伝え、どうするか考えました。

一度は決まったのですが、「転入生ができるものが1つしかない」「男女が混ざったグループが良い」などという意見が子どもたちから出て、もう一度考え直すこともやりました。
しっかりと話し合いができるようになったなぁ、と僕も嬉しくなりました。
難しいことに挑戦するのだけれど、出来るかもしれない、とも思いました。

7〜10時間目 劇の練習〜中間発表
決まったのは
・多摩川に行った経験(自分たちだけで、学校から切符を買い、電車に乗り、多摩川に行く)
・かけ算(九九)を全員言えるようになったこと
・学芸会の練習風景
・大縄を頑張ったこと(みんなが飛べるようになったこと)
・掃除(1年生の最初は出来なかったけど、今はしっかりと掃除できる)
というものです。

何度か練習をしましたが、最初はそれこそ上手くいきませんでした。
1:最初はできない
2:練習したり、応援したりして、だんだん出来るようになる
3:最後にはしっかりできた
という構造が、子どもたちには分かっているのだけれど、少し難しいかもしれない、と先生は思っていたようです。

また、これで4回目の劇づくりなので、「演劇=お笑いのように楽しいもの」という図式が、子どもたちの中で出来ているところもあり(そんなことをやっていたつもりはないのですが…)、いざ中間発表の時などには、アドリブで面白いことを言ったり、練習中にはやっていないことをやってみたり、そして笑いをとったり、ということが起りました。

私も先生も、中間発表の時には、とにかく最後までやってもらいました。ダラダラと長くなってしまっても、黙って見ていました。
そして静かに「こーたも先生も、そしてみんなも、こんな演劇をやりたいんじゃないよね?お母さん、お父さんに見せたいのはお笑いじゃないよね?」と静かに言いました。

11時間目〜14時間目 最後の練習〜発表会
その後、2年生とはいえ、あまり時間が取れずに、次の週、つまり本番の週になってしまいました。練習は全然出来なかったのに、10分程度思い出しの時間をとって、もう一度やってもらったら、見違えるように素晴らしいものになっていました。
練習も必要だけれど、「見せたい」という思いは強いのだなぁ、と思いました。

そして、発表ですが、正直なところ、発表の前にやった練習の方が良かったです。子どもたちは緊張しすぎていたのでした。
それでも、それも良い経験かな、と思いました。練習で120%できれば、本番は100%になる、のかな、と。
声がふるえていたり、大きくでなかったりしたけれど、ふざけたり、やる気の無い子どもは一人もいませんでした。

そして、やれたことが全員嬉しかったと思います。ちょっとだけだけど、自分のことに自信が持てたように思います。

来年度以降、この学年と一緒に演劇が作れるかどうかは分かりません。でも、僕との経験を活かして、いろんなことに向っていって欲しいと思うし、可能ならば、一緒に演劇を作り無いな、なんて思います。

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Happy Valentine

しばらく更新しておらずにすみません。日々の(なんとなくの)報告はFacebookで行っていて、こちらでは少しまとまったことを書こうと思っていて時間が過ぎていってしまってます。

年明けからも精力的に活動をしていて、ひとつ大きな活動が終わりましたが、まだまだ学校でのWSが止まらない、そんな感じです。

大きな活動というのは、豊橋での講座です。ふりかえりを後日しようと思っていますが、こんな感じの事でした。
ワークショップファシリテーター養成講座【後期】発表会
PLATさんはFacebookも頻繁に更新されているので、よろしければご覧になって下さい。

小学校でのWSも年明け頑張ってます。
いくつかリンクを張っておきます。
その1
その2

最近は行く事が当たり前すぎて、学校のHPに載せてもらえるのも少ないので、写真があるのは貴重ですね。

今年度4回活動した私立中学校の1年生との活動のリンクも張ります。
これも近々ふりかえりたいと思います。
白百合学園

年度末に向けてバタバタしていますが、実は、年度末も年度末、3月の終わりに「フォーラムシアター」を試みる・報告会という活動をやります。
お時間のある方はぜひいらして下さい詳しくはこちらです。

写真は、昨日バレンタイン前日と言うことで、小学校の給食に出たエクレアパン(コッペパンの上にチョコがかかってる)です。
食べかけですみません(途中で写真を撮ることを思いついた)。

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先生のためのワークショップ(講座)

明日は夏至らしいですね。今日は暑いです。

いろいろ告知したいことは多いのですが、そろそろ先生達が夏の予定を決め始めている頃だと思うので、先生のためのワークショップや講座を告知します。

 

第63回 全国演劇教育研究集会(全劇研)

毎年やってます演劇教育連盟(演教連)の講座です。
今年は代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターでやります。
基本的にどなたでも参加できますが、一応学校での演劇活動のことをやろうと考えています。

全劇研自体は8/2〜4でやっていますが、私の講座は8/4です。
お時間のある方、遊びにきて下さい。

詳細は
http://www4.ocn.ne.jp/~enkyoren/festa.html
をご覧下さい

先生のための演劇ワークショップ『はじめのいっぽ と もういっぽ』

世田谷パブリックシアターで毎年やっていたのですが、去年は1年お休みしました。
今年は復活です!
先生自身が演劇をつくって、近くの子どもの施設(児童館や学童など)に見せに行っちゃおう!
という試みです。

一昨年もやりましたが、参加者には好評でした。
お時間つくって、ぜひいらして下さい。

日時:8/25(月)13時~17時
8/26(火)10時~17時

参加費:2,000円(全2回分)
主催:世田谷パブリックシアター

詳細は
http://setagaya-pt.jp/workshop/2014/08/2014_5.html
をご覧下さい

不登校の子どもたちが通う学校にて

ほっとスクール 小学校高学年~中学生(6月上旬、11月中旬)

1時間 × 2日間(学校全体_世田谷パブリックシアター事業)

1日目
輪になって自己紹介をする
(名前、好きなもの、嫌いなものなど、子どもたちも私たちも同様に)
全員でいろいろな順番に並び替えをする
(名前の五十音順、背の順、誕生日順、寝た時刻順)
ブラインドカー
ブラインド・ファインド・ハンド
新聞紙を使ったリレー

2日目
鉛筆のダンス
熊がきた
だるまさんが転んだ
Give me a Shape
ことわざを身体で表現する
「危ない瞬間」を数人でストップモーションで表現
数人で俳句の風景を身体で表現する

こーたのふりかえり

世田谷区には「ほっとスクール」という名前の適応指導教室があります。

心理的理由等により不登校の状態にある児童・生徒が、体験活動やスポーツなどの小集団生活を通して、社会性や協調性を育み自立心を養い、学校生活への復帰や自分の進路の実現をめざします。学校とは違い、学年分けやクラス分けはありません。小学生・中学生が一緒に活動を行います。午前は「学習の時間」として、一人ひとりの子どもの進度に合わせ、個別学習に取り組みます。午後は「活動の時間」として、スポーツや読書など、自分のペースで活動します(世田谷区HPより)。

その中の午後の時間に、演劇的な活動を取り入れた授業を行いました。少し時期は離れていますが、1時間の授業を2回行えました。

不登校の子どもたちが集まる教室だったので、いつも以上にナーバスになっていたのは確かです。でも、子ども同士というか、同じ学年のクラスメイトが集まる教室ではないので、心配していたほどには私たちを拒んでいる漢字ではありませんでした。

それでも最初は「誰だ?演劇?何をやらされるんだ?」という感じで緊張していましたが(もちろん私も)好きなもの、苦手なもの等を話していくうちに、だんだんと解れていきました。普段は人前で話すことや自分自身のことを話すことにかなり抵抗があるようですが、ゲームで、私たち大人も同じ立ち位置で、呼んで欲しい名前、好きなもの、苦手なものなどを言っていくことで、抵抗が薄れていったのだと思います。
お互いのことを干渉しないことで成立する関係性を作りがちですが、この日は、知り合う(干渉する)ことで関係性を作っていこうと私は心がけながら進行していきました。
人数の多いクラスなどでは「早並び」と呼んでいる並び替えのゲームをよく行います。これは互いを知ることゲームの一つですが、競争の要素が強く、ほっとスクールには適さないと感じたので、全員でゆっくりと並び替えをするゲームをやりました。同じようなゲームでも、人や場所が変わることで、種類を少しずつ変えていきます。

また、からにこもりがちになると(私が勝手に)思っていたので、言葉を使わないで人を信頼するゲームをやりたいと思っていました。そこでブラインドカーを行ったのです。二人組になり、一人が目をつぶって歩いて、その人の後ろにもう一人が目を開けたままついていき、危ない時だけ止めて方向を変えてあげる、というゲームです。単純なゲームですが、そしてあえて言葉では言いませんが、少しずつ場の仲間と関係を築いていけたと思います。
そして続けてパートナーの手を当てるゲームをしました。二列に並んで、横の人と握手をします。その手を片方の列の人は目をつぶったまま覚えておき、スタートの合図で、目をつぶった人はそのまま手を出しておいて、もう片方の列の人が、パートナーや他の人と次々に握手をしていきます。「この人が自分のパートナーだ!」と思った時には、握手した手を離さないようにします。最初は子どもたちは「出来ないよ~」と言っていましたが、ほとんどの子どもがパートナーを当てられました。パートナーを探し当てることは嬉しいし、外れても楽しいし、こうやって手を触れあうことも出来ていくことで、また他人との距離が短くなったり、距離感を計れるようになっていくのだなぁ、とこの時思いました。

5ヶ月ほど経ってからもう一度時間を頂けました。前回と違って最初から笑顔を見せてくれましたし、初めて会う子もいましたが、前回参加した子どもに様子を聞いたからか、楽しみにしていたようです。
今回は、教室のスタッフ(先生)とも話して、より演劇的なことに挑戦しよう!ということになりました。演劇的な作業をするということは、表現すること、つまり見られることもありますが、グループで相談するという作業が入ってくるので、ほっとスクールの子どもたちには良い活動になるのではないか、と私たちで相談して決めました。
しかし小学校高学年~中学生で、男子生徒もいますし、いわゆる学芸会的な演劇は楽しまないと思います。私も楽しくありません。そこで「表現する」「セリフを覚えて、大きな声で言う」みたいなことを排除してやろうと考えました。
最初は二人組で、「犬もあるけば棒に当たる」「ネコに小判」といったことわざをやりました。全員同時にやっているので抵抗はないようでした。そこから発展して、「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」「古池や蛙飛び込む水の音」というような有名な俳句を身体で表現してみました。どの子どもも楽しそうに、積極的に活動していました。

実は、始まる前先生は「俳句は難しいのではないか、表現することを拒んでしまうのではないか」と心配していました。しかし、終わった後先生は「やれば出来るんですね~」と嬉しそうに語ってくれたのが印象的でした。先生達は、子どもたちは普段は「怖がってやらないだろう」という不安から、いろいろやらないことが多いようだ。例えば競争するゲームなどはあまりやらないそうです。でも、私たちのような学校ではない外部の人間が「刺激」を与えることで、子どもたちの別な面、新たな可能性が先生にも見えたようだ。そのことに大きな意味があると思うのです。
子どもたちの心を解放していったり、関係性を創り上げたり、成長するのを手助けしたり、そういった直接的な意味も多分にある活動ですが、毎日子どもたちと付き合っている先生たちに、子どもたちの違う面が見え、先生たちがナーバスになりがちな活動も実は有効であるということを発見できる、そいういった意味でも充実した授業だったのではないかと感じます。

世田谷区立小学校 4年生(歌からオリジナルの物語をつくる)

世田谷区立小学校 4年生(2月中旬・3月上旬)
2時限×2日間(3クラス_世田谷パブリックシアター事業)

1日目
1時間目
「1」「2」しか言わずに口げんかゲーム
問題の順番に並び替えをするゲーム
身体でものの形を表現する
場所を表現する

2時間目
昔話の1場面をからだだけを使ってやる
「サトゥ」「ドゥワ」「ティガ」(インドネシア語の123)だけを使って昔話を演劇にする

2日目
1時間目
上履き積み上げ競争
「痛い」「怒り」「忘れものした!」などの言葉を聞いて、その時の様子を身体でやる。ただし、止まっている
6人組になり、「あ、危ない!」という瞬間の場面を作る(止まっている)

2時間目
「怪獣のバラード(岡田冨美子・東海林修)」の歌の1場面を身体で表現する
怪獣が、砂漠からA地点に行き、その後海に行く物語を考えて演劇にする
発表

こーたのふりかえり

世田谷パブリックシアターでの事業の1つであるが、4年生と一緒に、しかも学芸会と関係なく活動するのは少ないので、ここに取り上げた。この小学校では、昨年、つまり児童が3年生だった時にも私に会い、演劇的な活動をした。しかしその時は、学芸会の前、1回2時間だけの活動だった。どちらかといえば「演劇的な活動への導入」という意味合いが強かったと思う。しかし今回は、子どもたちの発想を豊かするような表現活動をやりたいという先生の希望で行われた。
事前に、先生と打合せをすることもするが、学校のHPをのぞくこともある。するとそこに「怪獣のバラード(作詞:岡田冨美子/作曲:東海林修を唄った」とあった。4年生だけと言うわけではなく、全学年で唄ったらしい。「怪獣のバラード?」私はすぐに検索した。すると歌詞や歌の載せた音楽がネット上に見つかった。どうやら、NHKで流れていた曲らしかった。歌詞は

怪獣が砂漠に住んでいるのだが、人を愛したい、海が見たいと、砂漠から旅経つ

という内容である。なにやら、演劇に限らず、物語の始まりを予感させるような歌詞であった。「ならば!」と物語の続きを児童に考えてもらおうというのが最初の私のコンセプトであった。

1日目は、昨年(3年生の時)もやったことだが、身体でものの形や場所を表現することをやった。昨年、この学校の4年生にデタラメ語(ジブリッシュ)で昔話を演劇にしたのを先生が見ていて、あんなことがやりたいんです、とお願いされたので、最初のゲームに取り入れた。
まず二人組になり、1番と2番を決める。1番の人は1、2番の人は2しか言わずに、そして相手に振れることなく、ケンカをするように言う。最初はよく分からないが、1と2しか言わなくても表現できることに子どもたちは気付き、あちらこちらで1と2のケンカが始まる。続いてone、twoで、喜びあう、サトゥ、ドゥワ、ティガ(インドネシア語の123)で、何か会話を即興でする、ということをやった。前に出て発表するとなると堅くなるが、クラスが同時にやるので、注目されることもなく、しかも馬鹿馬鹿しいことが出来るので、とてもリラックスしながら、豊かな表現で楽しみながらやっていた。

2時間目は、昔話の1場面を身体だけを使ってやってもらうことにした。ただ「やって下さい」というと難しく、前に出てやりたがらないものだが、3匹の子ブタの2匹目の木の家が吹き飛ばされるところ、浦島太郎がおじいさんになるところ、シンデレラで魔法使いがカボチャを馬車にするところ、など、違う場面を当てっこすることにした。
1回目の発表も盛り上がったが、さらにサトゥ、ドゥワ、ティガしか喋らずに、むしろその言葉は積極的に使って、物語の場面をもう一度やってもらった。4年生の3学期くらいになると、恥ずかしいという気持ちが楽しい気持ちを上回ってくる頃だが、どのグループも楽しみながら演劇をやっていた。

私は時々、このようなゲームというか演劇づくりをしている。私は在日ペルー人の人たちと演劇をつくっていたり、海外でワークショップをしたり演劇を見たりすることも少なくない。その時に思うのだが、言葉が分からなくても、面白いものと面白くないものに分かれる。まちの中の様子をみても、あの人は怒ってるとか、あの人は悲しんでるとか、なんとなく分かるのだ。これは誰でも経験のあることだと思う。演劇では言葉も大切だが、言葉だけではない。その人が発しているオーラみたいなものを私たちは感じ取って、それを受け止めているのだ。
外国人と接する機会が多い私は、子どもたちに、外国人だからといって特別な目で見て欲しくないと思う。もちろん、困っている時には助けてあげたいし、危険な目にあいそうになったら逃げる(戦う?)必要はある。しかし、全ての人がそうではないし、フィルターを通した目で見ると、その奥にある真実を見誤ってしまうこともあるのだ。だから、いろんな言葉があることや、言葉は分からなくても伝わることはある、自分が外国で困ったら、日本語でも良いから訴え続ければ伝わることは必ずある、と雑談のように話すことがある。こんなことをきっかけに、世界に目が向けられると良いな、といつも思っている。

話がそれたが、とにかく、楽しいことを子どもたちとやろうと思って、こんな演劇活動をしている。

そして2日目である。怪獣のバラードを唄って、とお願いしたら、すぐに唄ってくれた。そして、先に言ってしまうが、怪獣のバラードに親しんでいる児童たちは、そこから始まる演劇をものすごく楽しんでいた。世田谷パブリックシアターのワークショップ巡回団は、オーダーメイドを唄っている。その学校やクラスに則した活動をなるべくやりたいと思っている。もちろん当日フタを開けてみてからゲームをかえるというような、臨機応変なことも含まれてはいるのだが、準備段階として、学校やクラスに関わりの深いテーマや題材を選んで活動するようにしている。他の学校生活や学校での活動にリンクしていた方が、小学生は入りやすいし楽しめる要素が多いと思うからだ。

歌詞には「怪獣は愛と海のあるところに向う」と唄っている。そこで「愛と海のある場所」を6人程度のグループでつくってもらった。怪獣、愛、海を表すものが必要だが、何と決まっているわけではないから、そこを子どもたちが考える。一人で怪獣をつくっても良いし、複数人で怪獣をつくっても良い。波をやっても良いし、船や泳いでいる人で海を表現しても良い。愛といっても、ロマンチックなものから家族愛みたいなものもある。怪獣が誰かを愛していてもよいし、全然違う人が愛を表現していても良い。まず、その場面を止まった形でつくってもらうことにした。

最近いろいろな場所で「静止画」「ストップモーション」と言われ、身体を止めて、写真のようなものをつくることはやられている。止まっているから簡単なように思えるが、実は私は難しい活動だと思う。小学生などは止まっていることが難しい。しかし、細かい部分を見ることや、ある基点になることは確かなので、この活動をやってみた。ここに行き着くために、まず「危ない!」場面を6人でつくるゲームを導入としてやった。
車に引かれそうな場面、銀行強盗の場面、転びそうな場面、ボールがぶつかりそうな場面、と、様々な場面が出てきた。また、その続きで、愛と海のある場所も、オリジナリティあふれる場面ができ上がった。

今度は、砂漠から、今つくった「愛と海のあるところ」にたどり着くような物語を作ってもらうことにした。しかし、ただつくってと言っても難しいと思ったので、小さい紙に雪山、サーカス、地獄、火事の現場、などと書かれた紙を、他のグループに分からないように配り、紙の場所で何かをしてから海に行くというルールを決めた。
これまた、児童たちは楽しんでやっていた。そして発想豊かな演劇がいくつもでき上がった。怪獣が火事を消して海に行ったり、怪獣が雪山に行き雪男を助けたり、地獄に落ちた人を助けたり、本当に楽しい場面がいくつもでき上がった。

おそらくだが、今年、4年生の時だけで、この活動をやろうとしたら難しかったかもしれない。3年生からの続き、また演劇に対して抵抗なく取り組めるような気持ちが最初からあったからこそ出来た活動だと思う。他の学校でもそうだが、複数年続けていくと、例えそれが2時間ずつだとしても、やれることがとても増える。身体で表現することの楽しさを1から感じで貰うようにするのと、「ああ、あれね」といってすぐに始めるのでは明らかに違う。今後も出来るなら続けていきたいし、低学年だけでなく、高学年中学校でも継続して活動したいと説に願っている。